じわじわと、春

まだまだ寒くて身体のこわばりは抜けないけれど、今年もようやく桜の季節がすぐそこまでやって来た。


桜の花には青空よりも薄曇りがよく似合う気がする。太陽光が強いと花の色を飛ばしてしまうから、淡墨色が背景の方がほのかな桜色が冴える。晴れの日は放っておいたって気持ちいいけれど、花の季節はそう思うことによって曇りの日の散歩の楽しみも増やしてみたりする。


何年か前に皆で見た、川べりの花吹雪を思い出す。あの日も曇りだった。

あの風、あの人の眼の表情。風も眼もたくさん物を言っていて、懐かしく愛おしかった。


この数年間を通して大事だったものを多く失ってきたが、案外拠り所がなくなってもやっていくぐらいの強さは持ち合わせているらしい。…違うかな、意識しない拠り所が幾つもあったということなのかもしれない。

最近はプリプリして辛いものばかり食べているけど(?)笑


どうあれ、春の陽射し、花の匂いに胸は弾む。長い冬を越せなかった人たちの分まで、私たちはきっとお祝いしよう。